王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
「何故断言できる?」
「何故と言われても……。ええっと、わたしは殿下と婚約してから十一年間妃教育を受けています。王太子妃……ひいては王妃になるものとして、不審な人物や自分に敵意のある人物には敏感になるように教育を受けているんです。だからある程度、自分に害意のある人間はわかりますし、安全だと確信できない人とはあまり近しい関係にならないようにしています」
エイミーは親しい友人が少ないが、その背景には、幼いころから受けてきた妃教育があった。信頼を置けるもの、付き合っても問題にならないもの、のちにち敵に回らないもの――エイミーは、相手の家柄、思想、性格、人間関係、すべて調べて問題なしとした相手以外、自分の懐には入れないことにしている。その点で、シンシアはすべて合格しているのだ。そして何よりエイミー自身もシンシアを好ましいと思っている。
ライオネルは驚いたようにぱちぱちと目をしばたたいた。
「お前……意外と考えていたんだな」
「わたしはいつも考えてますー」
ぷうっと頬を膨らませると、ライオネルが面白そうな顔で頬をつついてきた。
「それで、お前の判断ではシンシア・モリーンはシロだと?」
「はい」
「断言できるか?」
「できます。証拠になるかどうかはわかりませんが……、ものが降ってきたとき、周囲に犯人らしい人の気配はありませんでした。だからおそらく時間になって発動する類の魔術か、もしくは対象者が特定の場所に入ると発動する魔術が事前に仕掛けられているのだと思うんですけど、シンシアはその両方とも使えません。……というか、シンシアはその、勘はいいんですけど、スポーツ以外のお勉強が本当にダメで、魔術も……初級結界魔術に苦戦しているくらいなんです」
「はあ⁉ それでよくこの学園の入試がパスできたな⁉」
「補欠入学らしいですよ。運がよかったって笑ってました」
「…………伯爵令嬢だぞ?」
「殿下、いくら優れた家庭教師がついても、苦手なものが克服できない人は大勢いるんですよ」
「なるほど……お前の音痴と同じか」
「わたしは音痴じゃありません!」
何故ライオネルはエイミーを「音痴」というのだろう。音痴じゃないのに!
「何故と言われても……。ええっと、わたしは殿下と婚約してから十一年間妃教育を受けています。王太子妃……ひいては王妃になるものとして、不審な人物や自分に敵意のある人物には敏感になるように教育を受けているんです。だからある程度、自分に害意のある人間はわかりますし、安全だと確信できない人とはあまり近しい関係にならないようにしています」
エイミーは親しい友人が少ないが、その背景には、幼いころから受けてきた妃教育があった。信頼を置けるもの、付き合っても問題にならないもの、のちにち敵に回らないもの――エイミーは、相手の家柄、思想、性格、人間関係、すべて調べて問題なしとした相手以外、自分の懐には入れないことにしている。その点で、シンシアはすべて合格しているのだ。そして何よりエイミー自身もシンシアを好ましいと思っている。
ライオネルは驚いたようにぱちぱちと目をしばたたいた。
「お前……意外と考えていたんだな」
「わたしはいつも考えてますー」
ぷうっと頬を膨らませると、ライオネルが面白そうな顔で頬をつついてきた。
「それで、お前の判断ではシンシア・モリーンはシロだと?」
「はい」
「断言できるか?」
「できます。証拠になるかどうかはわかりませんが……、ものが降ってきたとき、周囲に犯人らしい人の気配はありませんでした。だからおそらく時間になって発動する類の魔術か、もしくは対象者が特定の場所に入ると発動する魔術が事前に仕掛けられているのだと思うんですけど、シンシアはその両方とも使えません。……というか、シンシアはその、勘はいいんですけど、スポーツ以外のお勉強が本当にダメで、魔術も……初級結界魔術に苦戦しているくらいなんです」
「はあ⁉ それでよくこの学園の入試がパスできたな⁉」
「補欠入学らしいですよ。運がよかったって笑ってました」
「…………伯爵令嬢だぞ?」
「殿下、いくら優れた家庭教師がついても、苦手なものが克服できない人は大勢いるんですよ」
「なるほど……お前の音痴と同じか」
「わたしは音痴じゃありません!」
何故ライオネルはエイミーを「音痴」というのだろう。音痴じゃないのに!