王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
「そ、それは……」
パトリシアは目に見えて狼狽えはじめた。
エイミーは舞台上にいる魔法騎士を振り返る。ライオネルが演奏を止めた直後の楽譜を頭の中に思い描いた。
「右の薬指なら……、殿下が倒れる直前に弾いていたのは……、Fの七ですね。ファとファのシャープへのスラーのところでした。ファとファのシャープの鍵盤を調べてください」
「調べろ」
ウォルターが魔法騎士の一人にピアノを確認するように告げる。
「ありました!」
エイミーの言った鍵盤を調べていた魔法騎士が声を上げる。
鍵盤を押すと、鍵盤と鍵盤の間から針が飛び出してくるように細工がしてあったようだ。
「パトリシア様、正解です。でも、まるで見てきたように鍵盤に針が細工してあるとわかったのは、どうしてでしょう?」
エイミーの声に、いつもの陽気な響きはない。
心の底から怒っているからだ。
「そ、そ、そんなの、ただの勘よ!」
「では、毒針だと思ったのは? これに毒物が付着しているかどうかは調べてみないとわかりませんが、まだ殿下が倒れられた理由がわからなかったこの状況で、的確に殿下が倒れられたのが毒針のせいだと断ぜられるのは、おかしな話ではないですか? なぜ、わかったんですか?」
「それは……」
「ピアノに細工をしたのが、パトリシア様だからですよね」
「な、なにを言い出すの⁉ わかったわ! あなた、わたくしに罪を擦り付けるつもりね! どこまで卑怯なのかしら! だから殿下はあなたのことが嫌い――」
「殿下は、わたしのことが大好きですよ」
パトリシアは目に見えて狼狽えはじめた。
エイミーは舞台上にいる魔法騎士を振り返る。ライオネルが演奏を止めた直後の楽譜を頭の中に思い描いた。
「右の薬指なら……、殿下が倒れる直前に弾いていたのは……、Fの七ですね。ファとファのシャープへのスラーのところでした。ファとファのシャープの鍵盤を調べてください」
「調べろ」
ウォルターが魔法騎士の一人にピアノを確認するように告げる。
「ありました!」
エイミーの言った鍵盤を調べていた魔法騎士が声を上げる。
鍵盤を押すと、鍵盤と鍵盤の間から針が飛び出してくるように細工がしてあったようだ。
「パトリシア様、正解です。でも、まるで見てきたように鍵盤に針が細工してあるとわかったのは、どうしてでしょう?」
エイミーの声に、いつもの陽気な響きはない。
心の底から怒っているからだ。
「そ、そ、そんなの、ただの勘よ!」
「では、毒針だと思ったのは? これに毒物が付着しているかどうかは調べてみないとわかりませんが、まだ殿下が倒れられた理由がわからなかったこの状況で、的確に殿下が倒れられたのが毒針のせいだと断ぜられるのは、おかしな話ではないですか? なぜ、わかったんですか?」
「それは……」
「ピアノに細工をしたのが、パトリシア様だからですよね」
「な、なにを言い出すの⁉ わかったわ! あなた、わたくしに罪を擦り付けるつもりね! どこまで卑怯なのかしら! だから殿下はあなたのことが嫌い――」
「殿下は、わたしのことが大好きですよ」