王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

エピローグ

 屋上には、湿り気を帯びた生暖かい風が吹いていた。

 パトリシアは捕縛されて、音楽祭は中断となった。ピアノが証拠品として押収されたのと、それからこの騒動で続けることはできないと判断されたからだ。

(はー、肩が凝ったな)

 騒動の後始末が終わった後、生徒たちは本日は帰宅するように言われたが、ライオネルとエイミーだけは父である国王から別室に呼び出されてこってり絞られた。

 勝手に危ないことをするな、立場を考えろと一時間にも及ぶ説教から解放されたのはついさっきのことだ。

 そのあとすぐに帰途についてもよかったが、一時間も説教をされたせいですっかり疲れてしまって、エイミーとともに少しの休憩を取るべく屋上に上がったのである。

 同じように危ないことをするなと怒られたエイミーは、ライオネルと違ってとっても元気いっぱいで、ライオネルの腕に腕を絡めて「これで公認の仲」だと意味のわからないことを言っている。

 婚約関係にある時点で公認の仲だったはずなのに、やっぱりエイミーの思考回路はよくわからない。

「これでわたしたちの仲を脅かす存在はいなくなりましたよ殿下!」

「あー、はいはい」

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