王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
「どこがいつも通りなのよ。ほら、もうやめなさい! そんなに爪を立ててごしごししたら、手が傷むわよ!」
シンシアに手首をつかまれて、エイミーはそこでようやく、執拗に手を洗っていたことに気づく。
土汚れはすっかり綺麗になっていて、ごしごししすぎたせいか手のひらがひりひりしていた。
「ねえ、何かあったの?」
「何もないわ」
エイミーは大きく深呼吸をしてもう一度シンシアに微笑むと、シンシアが持ってくれている教科書を受け取った。
「行きましょ、のんびりしていたら授業が終わっちゃうわ」
「……そうね」
シンシアはため息を吐いた。
シンシアとともに専門棟の音楽室へ行くと、何やら多数決がはじまっていた。
ほかの先生から事情を知らされていた音楽教師が、夏前の音楽祭で披露する曲の多数決をしているのだと教えてくれる。
音楽祭は毎年テーマが決められていて、今年の音楽祭は「声楽」なのだそうだ。つまり歌である。
シンシアに手首をつかまれて、エイミーはそこでようやく、執拗に手を洗っていたことに気づく。
土汚れはすっかり綺麗になっていて、ごしごししすぎたせいか手のひらがひりひりしていた。
「ねえ、何かあったの?」
「何もないわ」
エイミーは大きく深呼吸をしてもう一度シンシアに微笑むと、シンシアが持ってくれている教科書を受け取った。
「行きましょ、のんびりしていたら授業が終わっちゃうわ」
「……そうね」
シンシアはため息を吐いた。
シンシアとともに専門棟の音楽室へ行くと、何やら多数決がはじまっていた。
ほかの先生から事情を知らされていた音楽教師が、夏前の音楽祭で披露する曲の多数決をしているのだと教えてくれる。
音楽祭は毎年テーマが決められていて、今年の音楽祭は「声楽」なのだそうだ。つまり歌である。