王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
「今日は雑巾が降って来たわ!」

「……それなのになんで嬉しそうなわけ」

「ふふふ、今日は殿下とお城デートなの!」

「お城デート?」

「詳しいことは秘密なんだけど、殿下と放課後にも会えるのよ! 嬉しいっ」

「つまり殿下はエイミーの気持ちに答えてくれる気になったってことかしら?」

「そう思う⁉ 実はわたしもちょっとそんな気がしたの……!」

 ずっと「来るな」とか「巣に帰れ」とか言い続けていたライオネルが、自ら城に誘ったのだ。これは大躍進である。

「よかったじゃない」

「でしょう⁉ ああっ、早く放課後にならないかしら?」

「まだ一限目もはじまっていないのに何を言うのかしら。それにしても、あんたって本当に殿下が好きね」

「大好きよ!」

「ねえ、ちょっと気になってたんだけど、殿下の婚約者候補ってあんたのほかに四人いたんでしょ? その四人が誰か知ってる?」

「知らないわ」


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