王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
「殿下大好き‼」
嬉しくなったエイミーは、背後で扉が閉まった途端に駆けだした。
だが、抱き着く前にライオネルにがしっと頭を掴まれる。
「抱き着いてくるな!」
「だって……」
「いいか、俺に指一本でも触れてみろ、すぐにつまみ出すぞ! お前を呼んだのは歌の練習をさせるためで俺に抱き着かせるためじゃない!」
「じゃあせめて――」
「匂いを嗅ぐのもだめだ! わかったな⁉」
「……はぁい」
エイミーは口を尖らせたが、あまりごねてライオネルの機嫌を損ねると、本当につまみ出される可能性があったのでそれ以上は反論しなかった。せっかくのお城デートが一分で終了になるのは嫌だからである。
「ほら、さっさとそこに立て。まずは音階からだ。お前の歌を聞いたのは六年前が最後だからな、今がどういう状態か確かめる必要がある」
(六年前って言うと……あっ、殿下にお誕生日を歌を歌ったときね!)
エイミーが一生懸命練習した誕生日祝いの歌は、しかしわずか二小節歌ったところで待ったをかけられた。そして「二度と人前で歌うな」と言われたのである。だからあれ以来人前で歌っていないので、もちろんライオネルにも歌を聞かせていない。
嬉しくなったエイミーは、背後で扉が閉まった途端に駆けだした。
だが、抱き着く前にライオネルにがしっと頭を掴まれる。
「抱き着いてくるな!」
「だって……」
「いいか、俺に指一本でも触れてみろ、すぐにつまみ出すぞ! お前を呼んだのは歌の練習をさせるためで俺に抱き着かせるためじゃない!」
「じゃあせめて――」
「匂いを嗅ぐのもだめだ! わかったな⁉」
「……はぁい」
エイミーは口を尖らせたが、あまりごねてライオネルの機嫌を損ねると、本当につまみ出される可能性があったのでそれ以上は反論しなかった。せっかくのお城デートが一分で終了になるのは嫌だからである。
「ほら、さっさとそこに立て。まずは音階からだ。お前の歌を聞いたのは六年前が最後だからな、今がどういう状態か確かめる必要がある」
(六年前って言うと……あっ、殿下にお誕生日を歌を歌ったときね!)
エイミーが一生懸命練習した誕生日祝いの歌は、しかしわずか二小節歌ったところで待ったをかけられた。そして「二度と人前で歌うな」と言われたのである。だからあれ以来人前で歌っていないので、もちろんライオネルにも歌を聞かせていない。