王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
「殿下、紅茶のお代わりはいかがですか」

「ああ」

「お砂糖は?」

「別に」

「わかりました、今日は入れる気分なんですね」

「……おい」

 ライオネルは三つ目のクッキーを口に運ぼうとして顔を上げた。

「どうしてそう思った」

「はい?」

「だから、どうして俺が砂糖を入れる気分だと思ったんだと聞いている」

 エイミーはきょとんとした。

「どうしてって言われても……」

 それから、うーんと首をひねりつつ天井を見上げて、そして「えへへ」といつものへらへら笑いを浮かべた。

「わたしは殿下の婚約者ですから以心伝心なんですよきっと!」

「訊いた俺が馬鹿だった」

 ライオネルは、はーっと大きく息を吐き出した。

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