コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
約束
———ボフッ!!
水惟は傍にあったクッションを蒼士に思いきり投げつけた。その目は蒼士をキッと睨むように見ている。
「水惟?」
———ポフッ!
また一つ投げつけると、蒼士は上半身で受け止めた。
「おい…水惟!」
「嘘つき 嘘つき 嘘つき!!」
今度は枕を手にして投げようとしているのを、椅子から立ち上がった蒼士が腕を掴んで制止した。
「落ち着けって!水惟!」
「…だって…約束したのに…」
蒼士の言った通り、水惟は忘れていたことを思い出していた。
「5年以内に迎えに来てくれるって…。そしたら…また夫婦としてやり直そうって…」
それは離婚する時に二人がした約束だった。
「…なのに…嘘つき…」
水惟は怒っているようにも悲しそうにも見える表情で振り絞るように言った。
「水惟…」
蒼士は水惟の腕を掴んだままだ。
「ほんとは…」
「…わかってるの。悪いのは私だって…」
「蒼士はちゃんと迎えに来てくれたのに」
「ちゃんと覚えててくれたのに」
「私は…全部…約束も、思い出も…全部忘れて…」
「ひどいこと言って…」
「なのに…また好きになったなんて言って…」
「嘘つきは私」
「こんなの、嫌われて当然…」
水惟は傍にあったクッションを蒼士に思いきり投げつけた。その目は蒼士をキッと睨むように見ている。
「水惟?」
———ポフッ!
また一つ投げつけると、蒼士は上半身で受け止めた。
「おい…水惟!」
「嘘つき 嘘つき 嘘つき!!」
今度は枕を手にして投げようとしているのを、椅子から立ち上がった蒼士が腕を掴んで制止した。
「落ち着けって!水惟!」
「…だって…約束したのに…」
蒼士の言った通り、水惟は忘れていたことを思い出していた。
「5年以内に迎えに来てくれるって…。そしたら…また夫婦としてやり直そうって…」
それは離婚する時に二人がした約束だった。
「…なのに…嘘つき…」
水惟は怒っているようにも悲しそうにも見える表情で振り絞るように言った。
「水惟…」
蒼士は水惟の腕を掴んだままだ。
「ほんとは…」
「…わかってるの。悪いのは私だって…」
「蒼士はちゃんと迎えに来てくれたのに」
「ちゃんと覚えててくれたのに」
「私は…全部…約束も、思い出も…全部忘れて…」
「ひどいこと言って…」
「なのに…また好きになったなんて言って…」
「嘘つきは私」
「こんなの、嫌われて当然…」