コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
***
「いいな〜クリエイティブは。服装が自由でメイクもテキトーで良くって。」
水惟が会社の化粧室から出て行くタイミングで、化粧直しをしていた油井がわざと聞こえるように言った。隣の女子社員がクスクスと笑う。
クリエイティブを希望していた油井はマーケティング部に配属されていた。
配属が発表された頃から徐々に水惟に対する悪意をあからさまにするようになっていた。
「水惟、なんかネイルに気合い入ってる?」
蒼士が水惟の手をまじまじと見て言った。
付き合うようになってしばらく経つと、お互いの家を行き来するようになっていた。
この日は蒼士の家でソファに座って話していた。
「うん。私、あんまりメイク得意じゃなくてきれいに出来ないから…ネイルだけでも可愛くしたいなって思って。お店でやってもらったの。」
「…誰かに何か言われた?」
蒼士が心配そうに訊ねると、水惟は無言で首を横に振った。
「水惟はかわいいし、どんどんきれいになってるよ。」
そう言って、蒼士は水惟を後ろから抱きしめた。
水惟は幸せそうにその腕をぎゅっと掴んだ。
社内恋愛というだけならまだしも、深山家の跡取りとなると付き合っているだけでもいろいろと邪推されかねないため、二人の関係は社内では秘密にしている。
二人で出かけることはあるが、こうして二人で部屋で過ごすことが多い。
「いいな〜クリエイティブは。服装が自由でメイクもテキトーで良くって。」
水惟が会社の化粧室から出て行くタイミングで、化粧直しをしていた油井がわざと聞こえるように言った。隣の女子社員がクスクスと笑う。
クリエイティブを希望していた油井はマーケティング部に配属されていた。
配属が発表された頃から徐々に水惟に対する悪意をあからさまにするようになっていた。
「水惟、なんかネイルに気合い入ってる?」
蒼士が水惟の手をまじまじと見て言った。
付き合うようになってしばらく経つと、お互いの家を行き来するようになっていた。
この日は蒼士の家でソファに座って話していた。
「うん。私、あんまりメイク得意じゃなくてきれいに出来ないから…ネイルだけでも可愛くしたいなって思って。お店でやってもらったの。」
「…誰かに何か言われた?」
蒼士が心配そうに訊ねると、水惟は無言で首を横に振った。
「水惟はかわいいし、どんどんきれいになってるよ。」
そう言って、蒼士は水惟を後ろから抱きしめた。
水惟は幸せそうにその腕をぎゅっと掴んだ。
社内恋愛というだけならまだしも、深山家の跡取りとなると付き合っているだけでもいろいろと邪推されかねないため、二人の関係は社内では秘密にしている。
二人で出かけることはあるが、こうして二人で部屋で過ごすことが多い。