コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
「仕事でね、今度…アシスタントデザイナーじゃなくて、デザイナーとして案件を一つ任せてもらえそうなの。」
水惟が蒼士の腕の中で嬉しそうに言った。

「へぇ、すごいじゃん。まだ二年目なのに。でも頑張ってるもんな。俺も水惟のデザイン好き。」
蒼士の言葉に水惟は嬉しそうな顔をする。

「洸さんがすごく推してくれて—」

「洸さん…」
「うん」

「仲良いね。」
「え!そんな、洸さんは大先輩で仲良いなんておこがましいよ。」

「うん、知ってる。洸さんは俺にとっても大好きな大先輩だから。でも、水惟の口から男の名前が出るとちょっと嫉妬する。」
「え、でも仕事の話だし、私が好きなのは蒼士さ—っんっ」

蒼士は水惟の顔を自分の方に向かせ、少し強引に唇を割り開かせた。
水惟の吐息が荒くなる。

「…蒼士。“さん”なんていらない。」
「で、でも—ん…っ…ふ…」
反論しようとする水惟の唇を蒼士が塞ぐ。

「—…そう し…」
少し荒くなった吐息と、潤んだ瞳で水惟が蒼士の名前を口にする。

「もっかい言って?」
「……蒼士…?」

「水惟、かわいい」

(水惟は何もわかってない…)

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