コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
「結婚して、深山くんも頑張らなきゃって思ってるのかもしれないわね。」
「………」

「深山くんは社長の息子だし彼自身がとっても優秀だから、当然深端は彼が継ぐことになるってみんな思ってるけど、結婚したタイミングで仕事が疎かになったり営業成績が下がったりしたら、きっとみんな水惟のせいだと思うのよ。」
「…そうかも…」

「だから、そうならないように結婚してからずっと頑張ってるんじゃない?前より明らかに出張も残業も多いわよね。水惟のため、かな。」

「…じゃあやっぱり寂しいなんて言っちゃダメですね…」
水惟はつぶやくように言った。

「水惟、いいのよ?寂しいって言うくらいは。」
冴子が心配そうに言った。

「でも…」
「もー!水惟は素直なとこがいいところなんだから、遠慮しないで深山くんに寂しいって言いなさい。まだまだ新婚なんだから。」
「うん…」

「それに深山くんがいなくて寂しいなら、私が飲みでも遊びでも付き合うから。メー子にも声かけてさ、ストレス発散しよ!」
「うん」
水惟は静かに笑って応えた。

< 135 / 214 >

この作品をシェア

pagetop