コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
「ただいま。」
土曜日、休日出勤していた蒼士が帰宅すると、水惟はまたリビングで寝てしまっていた。

「水惟。」
「ん〜……」
水惟は蒼士が帰って来たことに気づきハッと飛び起きる。

「ごめん!すぐにご飯の準備するから…」
「いいよ、水惟も疲れてるんだから。デリバリーか…たまには俺が何か作ろうか?」
蒼士が笑って言った。

「でも昨日もできなかったし…他のことも全然ちゃんとできてないし…」
蒼士はしゅんとする水惟の頭を撫でた。

「水惟はちゃんとやってくれてるよ。本当はハウスキーパーとか使ったって良いんだから。」
「…でも…」
「簡単なパスタくらいならできそうだね。」
蒼士が冷蔵庫の中を見て言った。

「じゃあ私が作るよ。」
「いいから水惟は休んでて。俺だって一人暮らししてたんだよ?」

「でも…」
「じゃあ皿とか用意してもらえる?」
蒼士は困ったように笑って言った。

「…はい…」

休日出勤から帰ってきた蒼士に料理をさせてしまうことに、水惟は罪悪感を感じてしまった。
蒼士が出張でない日は料理を作るつもりでいたが、昨日も寝落ちしてしまっていた。
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