コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
「忙しい時ほどちゃんと休んではやく元気になるのが正しい責任感だよ。」
「…でも…」

「氷見さんに電話してきちんと引き継ぎすれば大丈夫だよ。」
「………」
水惟は申し訳なさそうな表情で頷くと、また横になった。

「帰りに水惟の好きな物買ってきてあげるよ。フルーツ?アイス?ゼリー?何がいい?」
「…ゼリー…フルーツが入ってるやつ…」

子どものように言った水惟にクスッと笑うと、蒼士は水惟の頬に指の背を当てた。
「水惟、ちょっと痩せた?」

「……病気だからそう見えるだけだよ。蒼士も早く行かないとうつっちゃうし、遅刻するよ…」

「本当は行きたくないけど、行ってきます。」
蒼士は名残惜しそうに寝室から出て行った。


深端グラフィックス・クリエイティブチーム
「水惟、今日は休みだって。あの子の案件で何かあったらみんなフォローしてあげて。」
水惟から電話を受けた氷見が言った。

「ポスターのラフ提出しなきゃいけないみたいですけど、フォントが水惟のパソコンにしか入ってないんで、水惟のパソコン開いて作業していいですか?」
乾が言った。

「ああ、うん。お願い。」
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