コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
一日だけの休みで、部署内のフォローがあったとはいえ、会社を休めばそれなりに仕事は溜まる。
その日はその処理に追われて一日が過ぎていった。
水惟は翌日の残業時間に、誰もいないオフィスでもうほとんど準備ができてきるコンペの資料を少しだけ手直しした。
風邪の名残りなのか、少し頭痛と眩暈がした。


社内コンペ・プレゼン当日
深端グラフィックスの社内コンペでは基本的に事前資料などは配布せず本番のプレゼンをして、プレゼン力や、審査対象ではないものの深端のデザイナーとしての対応力なども見られる。
プレゼンの順番はその場で決められ、水惟は一番最後にプレゼンをすることになった。

この日のプレゼンの聞き手は、氷見が事前に話していた営業部長の他に、マーケティング部の部長とマーケティング部の若手社員などがいた。油井の姿もある。


プレゼンをするのは全員クリエイティブチームの仲間で先輩ということもあり、水惟にとっては一人一人の企画やデザイン、プレゼンがすべて勉強になるものだった。
自分にはない発想や、細かいところまで企画が練られどんな質問にも答える先輩のプレゼンに、水惟は感心しっぱなしでとてもワクワクした気持ちになっていた。
だからといって、自分の企画が負けているとも思うことはせず、プレゼンに向けて心の準備をしていた。

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