コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
「俺はコーヒーだけにするけど、水惟はケーキも食べれば?」
蒼士はメニューを開いて水惟に渡した。

「…紅茶だけでいいです。」
水惟はまたツンとして答えた。

「でもほら水惟、イチゴ好きだろ?ここのストロベリータルト美味しいって有名だよ。それにここ、土日は1時間以上待つらしい。」
「え…」
ついメニューに目を奪われてしまう水惟に、蒼士はフッと笑う。

「じゃあタルト1個だな。」
「………」
水惟は悔しそうに少し膨れて頷いた。

「すみません、ホットコーヒーを、それとストロベリータルトのドリンクセットをホットの紅茶で—」
注文する蒼士が水惟を見た。

「ミルクだけでいいんだっけ?」
「………」
水惟はコクッと頷いた。

(4年も前なのに、よく覚えてるな…)

そう言う水惟も、蒼士がコーヒーに砂糖を一つ入れることを覚えていた。

(…変わってないんだ…)

ブラックコーヒーを飲みそうな見た目とのギャップが昔は好きだった。
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