コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
もう一度
「私は深端のことをよく知らないで入ったから、深端の社風とかシステムとかも全然想像してなくて…正直、自分に全然合ってなかったって今ならわかる。」
「…水惟が辞めてから、少しずつだけどいろんなことを変えていってるよ。たとえば社内コンペは必ず事前資料を上長に提出することになった。」
蒼士が言った。
「愛想が良いのも物怖じしないのも、決して悪いことではないし必要な場合もあるけど、技術やセンスがあるのに純粋にそこで勝負できないのはおかしいから。」
「そうなんだ。」
「昔みたいに水惟が苦しむ場面は減ってるはずだよ。それでも深端に戻る気は無い?」
水惟は静かに頷いた。
「私、これからもリバースデザインで働いてたい。」
「………」
「人数も私にちょうどいいし、みんな穏やかで…私がいるべき環境だって思えるの。服装だってTシャツでもいいし。」
水惟は笑った。
「それにやっぱり洸さんて超すごいし。まだまだ洸さんの下で勉強したい。」
「…深端よりも良い環境?」
蒼士の質問に、水惟は頷いた。
「私にとっては…ね。でも、深端のシステムが改革されて助かる人もいっぱいいると思う。私と違って、純粋に深端グラフィックスを目指して入社した口下手なデザイナーさんとか。」
「そっか…。」
蒼士はほんの少し寂しさを滲ませた。
「…水惟が辞めてから、少しずつだけどいろんなことを変えていってるよ。たとえば社内コンペは必ず事前資料を上長に提出することになった。」
蒼士が言った。
「愛想が良いのも物怖じしないのも、決して悪いことではないし必要な場合もあるけど、技術やセンスがあるのに純粋にそこで勝負できないのはおかしいから。」
「そうなんだ。」
「昔みたいに水惟が苦しむ場面は減ってるはずだよ。それでも深端に戻る気は無い?」
水惟は静かに頷いた。
「私、これからもリバースデザインで働いてたい。」
「………」
「人数も私にちょうどいいし、みんな穏やかで…私がいるべき環境だって思えるの。服装だってTシャツでもいいし。」
水惟は笑った。
「それにやっぱり洸さんて超すごいし。まだまだ洸さんの下で勉強したい。」
「…深端よりも良い環境?」
蒼士の質問に、水惟は頷いた。
「私にとっては…ね。でも、深端のシステムが改革されて助かる人もいっぱいいると思う。私と違って、純粋に深端グラフィックスを目指して入社した口下手なデザイナーさんとか。」
「そっか…。」
蒼士はほんの少し寂しさを滲ませた。