コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
水惟はテーブルの上を見て、少しソワソワしていた。
「あの…コーヒーに付いてきたミルク、使わないなら貰ってもいいですか?」
水惟が言った。
「…甘くないミルクティーが好きなんですけど、ミルクとかレモンとか聞かれなかったから貰い忘れちゃいました…」
「へえ、いいよ。じゃあ、代わりに砂糖ちょうだい。」
「え?」
「俺、ブラック飲めないんだよね。」
蒼士が苦笑いで言った。
蒼士のコーヒーにはなぜか砂糖が付いてこなかった。
「深山さん、ブラックコーヒー飲んでそうだから…意外です。」
「ガキっぽい?」
少し恥ずかしそうな蒼士の問いに水惟は首を横に振った。
「そんな風には思わないですけど…イメージとのギャップで…ちょっと…かわいいです。」
水惟は可笑しそうに「ふふっ」と笑った。
「それってガキっぽいって言ってない?」
「言ってないです。ふふっ」
「藤村さんて、クリエイティブでは下の名前で呼ばれてるの?」
「あ、はい。クリエイティブもだし、他の部署の方でもよく関わる方からは下の名前で呼ばれてますね。」
「…みんなから下の名前で呼び捨てって、嫌だったりしない?」
「………」
水惟はキョトンとする。
「あー…いや、会社内のハラスメントとかの調査?みたいな。」
(我ながら苦しい言い訳だ…)
「私、水惟って名前がすごく気に入ってるんです。呼びやすいみたいでみんな呼んでくれるので、人見知りが少し緩和されるっていうか…なのでどちらかというと嬉しいです。」
「ふーん…」
「よかったら深山さんも名前で呼んでください。」
「え…うーん…俺が名前で呼ぶのはマズいんじゃない?立場的に。」
“深端の跡取り”が女性社員を名前で呼んでいたら、なにかと詮索されることが容易に想像できる。
「あ、そ、そうですよね。すみません…。」
水惟はまたしゅんと肩を落とした。
「この後決めてないんだけど、ドライブでも行く?」
「はい。」
「あの…コーヒーに付いてきたミルク、使わないなら貰ってもいいですか?」
水惟が言った。
「…甘くないミルクティーが好きなんですけど、ミルクとかレモンとか聞かれなかったから貰い忘れちゃいました…」
「へえ、いいよ。じゃあ、代わりに砂糖ちょうだい。」
「え?」
「俺、ブラック飲めないんだよね。」
蒼士が苦笑いで言った。
蒼士のコーヒーにはなぜか砂糖が付いてこなかった。
「深山さん、ブラックコーヒー飲んでそうだから…意外です。」
「ガキっぽい?」
少し恥ずかしそうな蒼士の問いに水惟は首を横に振った。
「そんな風には思わないですけど…イメージとのギャップで…ちょっと…かわいいです。」
水惟は可笑しそうに「ふふっ」と笑った。
「それってガキっぽいって言ってない?」
「言ってないです。ふふっ」
「藤村さんて、クリエイティブでは下の名前で呼ばれてるの?」
「あ、はい。クリエイティブもだし、他の部署の方でもよく関わる方からは下の名前で呼ばれてますね。」
「…みんなから下の名前で呼び捨てって、嫌だったりしない?」
「………」
水惟はキョトンとする。
「あー…いや、会社内のハラスメントとかの調査?みたいな。」
(我ながら苦しい言い訳だ…)
「私、水惟って名前がすごく気に入ってるんです。呼びやすいみたいでみんな呼んでくれるので、人見知りが少し緩和されるっていうか…なのでどちらかというと嬉しいです。」
「ふーん…」
「よかったら深山さんも名前で呼んでください。」
「え…うーん…俺が名前で呼ぶのはマズいんじゃない?立場的に。」
“深端の跡取り”が女性社員を名前で呼んでいたら、なにかと詮索されることが容易に想像できる。
「あ、そ、そうですよね。すみません…。」
水惟はまたしゅんと肩を落とした。
「この後決めてないんだけど、ドライブでも行く?」
「はい。」