コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
***
「え…これって絶対参加しなきゃいけないやつですか?」
ある日、水惟が不安そうな顔で洸に訊ねた。
夕日広告賞の授賞式とその後に開かれる祝賀パーティーの招待状がリバースデザインに届いた。
「水惟は主役みたいなもんだからな。パーティーはすぐ抜けていいけど、授賞式は絶対参加。スピーチもある。」
「えー…」
「でかいプレゼンだって何回もやってきただろ?それより全然気楽に構えていいよ。」
「知らない人にプレゼンする方が何倍も気楽…」
広告賞に関連するイベントには深端グラフィックスの人間が多く参加する。
蒼士と離婚してから今回のjärviの仕事まで、水惟は深端の人間に直接会うような場には出ていない。
(深山家の跡継ぎに捨てられた惨めな女…って絶対思われる…)
水惟の表情が暗くなる。
「水惟が自分で勝ち取った大きな賞なんだから、ADのSUIとして堂々と出てけばいいんだよ。」
洸が心配も含んだような笑顔で励ました。
(SUIとして…)
「…じゃあ、授賞式だけはがんばる…パーティーはすぐ抜けるけど…」
「オッケー。お偉いさんには俺がうまく売り込んどくから安心しなさい。」
「…はーい…」
洸が上手く立ち回ってくれるのは間違いないだろうとは思うが、水惟は少し憂鬱な気持ちになってしまった。
(洸さんみたいに感じ良く愛想良くできたらなぁ…)
(…授賞式のスピーチ考えなきゃ…胃が痛い…)
「え…これって絶対参加しなきゃいけないやつですか?」
ある日、水惟が不安そうな顔で洸に訊ねた。
夕日広告賞の授賞式とその後に開かれる祝賀パーティーの招待状がリバースデザインに届いた。
「水惟は主役みたいなもんだからな。パーティーはすぐ抜けていいけど、授賞式は絶対参加。スピーチもある。」
「えー…」
「でかいプレゼンだって何回もやってきただろ?それより全然気楽に構えていいよ。」
「知らない人にプレゼンする方が何倍も気楽…」
広告賞に関連するイベントには深端グラフィックスの人間が多く参加する。
蒼士と離婚してから今回のjärviの仕事まで、水惟は深端の人間に直接会うような場には出ていない。
(深山家の跡継ぎに捨てられた惨めな女…って絶対思われる…)
水惟の表情が暗くなる。
「水惟が自分で勝ち取った大きな賞なんだから、ADのSUIとして堂々と出てけばいいんだよ。」
洸が心配も含んだような笑顔で励ました。
(SUIとして…)
「…じゃあ、授賞式だけはがんばる…パーティーはすぐ抜けるけど…」
「オッケー。お偉いさんには俺がうまく売り込んどくから安心しなさい。」
「…はーい…」
洸が上手く立ち回ってくれるのは間違いないだろうとは思うが、水惟は少し憂鬱な気持ちになってしまった。
(洸さんみたいに感じ良く愛想良くできたらなぁ…)
(…授賞式のスピーチ考えなきゃ…胃が痛い…)