コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
笑顔
(余計なこと考えてないで、järviのロゴの資料まとめなくちゃ…)
「お、なんか豪華などら焼きあるじゃん。」
水惟が難しい顔でパソコンに向かっていると、いつの間にか事務所に戻って来ていた啓介が言った。
「いただきー♪」
「あ!アッシー!そのどら焼き、超レアだからちゃんと味わって食べて!!」
無遠慮にどら焼きを手に取った啓介に、水惟が焦って声をかけた。
「え、何?怖ーんだけど。」
「いい?これは木菟屋の生どら焼きっていって、完全予約制で数量限定なの!だから滅多に食べられないんだよ。」
どら焼きの入った箱を前に水惟が得意げに説明する。
「ふーん。で、なんでそんなもんがリバースにあんの?」
「………」
水惟の態度を見て、啓介は来客予定が記入されたホワイトボードを見た。
「ああ、深山さんか。」
啓介がニヤリとした。
「これも水惟の好きなお菓子なんだ?」
見透かしたように言う。
「…人気のどら焼きなんだから、好きでも不思議じゃないでしょ…」
「それはそうだけど、水惟のためにわざわざ予約して買ってきたってことだろ?」
「そんなんじゃ…なぃ、と…おもう…」
今までなら「そんなんじゃない」と強く否定していた水惟がしどろもどろで否定するのを見て、啓介はまたニヤッとした。
「なんかあった?」
「なにも…。とにかく、貴重な木菟屋だから味わって食べて。それだけ。」
目を逸らしてそう言うと、水惟は自分の席に戻って行った。
(答えはもらえなかったけど…多分、きっと、私が好きなお菓子を選んで手土産にしてる…気がする…)
パソコンに向かいながら水惟はまた先ほどの蒼士とのやり取りを思い出して、蒼士の行動をどう捉えたら良いのかわからない戸惑いに、困ったように眉を八の字にし頬を赤らめた。
———はぁ…
「お、なんか豪華などら焼きあるじゃん。」
水惟が難しい顔でパソコンに向かっていると、いつの間にか事務所に戻って来ていた啓介が言った。
「いただきー♪」
「あ!アッシー!そのどら焼き、超レアだからちゃんと味わって食べて!!」
無遠慮にどら焼きを手に取った啓介に、水惟が焦って声をかけた。
「え、何?怖ーんだけど。」
「いい?これは木菟屋の生どら焼きっていって、完全予約制で数量限定なの!だから滅多に食べられないんだよ。」
どら焼きの入った箱を前に水惟が得意げに説明する。
「ふーん。で、なんでそんなもんがリバースにあんの?」
「………」
水惟の態度を見て、啓介は来客予定が記入されたホワイトボードを見た。
「ああ、深山さんか。」
啓介がニヤリとした。
「これも水惟の好きなお菓子なんだ?」
見透かしたように言う。
「…人気のどら焼きなんだから、好きでも不思議じゃないでしょ…」
「それはそうだけど、水惟のためにわざわざ予約して買ってきたってことだろ?」
「そんなんじゃ…なぃ、と…おもう…」
今までなら「そんなんじゃない」と強く否定していた水惟がしどろもどろで否定するのを見て、啓介はまたニヤッとした。
「なんかあった?」
「なにも…。とにかく、貴重な木菟屋だから味わって食べて。それだけ。」
目を逸らしてそう言うと、水惟は自分の席に戻って行った。
(答えはもらえなかったけど…多分、きっと、私が好きなお菓子を選んで手土産にしてる…気がする…)
パソコンに向かいながら水惟はまた先ほどの蒼士とのやり取りを思い出して、蒼士の行動をどう捉えたら良いのかわからない戸惑いに、困ったように眉を八の字にし頬を赤らめた。
———はぁ…