コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
***
「ロゴ見せるの楽しみだね。湖上さんもきっと喜んでくれるよ。」
電車の窓から午後の日差しを受けながら、蒼士が穏やかな笑顔と口振りで言った。
この日、水惟はまた蒼士と二人でjärviに向かっていた。
この日は蒼士が別件のアポを済ませてからjärviに行くことになっていたため、車ではなく電車に揺られている。
二人はドアの側に立って、窓の外を眺めながら会話をしていた。
「…はい。」
蒼士が自分を嫌っているわけではない、と聞いてしまったせいで、水惟は自分の立ち位置がよくわからなくなってしまった。
嫌われていなくても二人は離婚しているし、別れると言い出したのは蒼士だ。
「そういえば、もうすぐ夕日広告賞の授賞式だね。」
「…はい。」
「水惟、スピーチするんだよね。」
「………」
水惟はスピーチのことを思い出して、肩に力が入った。
「昔からそういうの苦手だったもんな。」
蒼士は緊張する水惟に笑って言った。
その何気ない笑顔に胸がギュっと掴まれてしまう。
「…スピーチがまだうまく…まとまってなくて…」
水惟がボソッと言った。
水惟が会話を続けようとしたことに、蒼士はどこか安心したような嬉しそうな顔をした。
「そんなに難しく考えなくて大丈夫だと思うよ。」
「ロゴ見せるの楽しみだね。湖上さんもきっと喜んでくれるよ。」
電車の窓から午後の日差しを受けながら、蒼士が穏やかな笑顔と口振りで言った。
この日、水惟はまた蒼士と二人でjärviに向かっていた。
この日は蒼士が別件のアポを済ませてからjärviに行くことになっていたため、車ではなく電車に揺られている。
二人はドアの側に立って、窓の外を眺めながら会話をしていた。
「…はい。」
蒼士が自分を嫌っているわけではない、と聞いてしまったせいで、水惟は自分の立ち位置がよくわからなくなってしまった。
嫌われていなくても二人は離婚しているし、別れると言い出したのは蒼士だ。
「そういえば、もうすぐ夕日広告賞の授賞式だね。」
「…はい。」
「水惟、スピーチするんだよね。」
「………」
水惟はスピーチのことを思い出して、肩に力が入った。
「昔からそういうの苦手だったもんな。」
蒼士は緊張する水惟に笑って言った。
その何気ない笑顔に胸がギュっと掴まれてしまう。
「…スピーチがまだうまく…まとまってなくて…」
水惟がボソッと言った。
水惟が会話を続けようとしたことに、蒼士はどこか安心したような嬉しそうな顔をした。
「そんなに難しく考えなくて大丈夫だと思うよ。」