腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め
◈悪役にはなりきれないのですね。

・゚
*.



とある一人の女子生徒が同じ高校の男子生徒と付き合い始めた。


若い男女が同じ空間で過ごす以上、それはそこらじゅうでありふれた話。


しかし問題は、彼女の恋人となった男が、この学校で一番権力のあるお嬢様の片想い相手だったということ。


そのせいで、彼女は色々な嫌がらせを受けるようになった。

今なんて、件のお嬢様とその取り巻きたちに囲まれ詰め寄られている。




──なんて客観的に今の状況をまとめてみると、まるでどこぞの恋物語のヒロインと、それを邪魔するライバルだ。


そして、残念ながら私はヒロインの方じゃない。

可哀想なヒロインのことを頭の上からつま先までじっくりと観察して、ハッと鼻で笑い、




「なぁんだ安心した。思ったよりブスじゃないの」




とか言っちゃう方の人間。ライバルというより悪役。

この学校で一番の権力を持つ女子生徒、しかも某大企業の社長令嬢。それはこの私、岸井まいのことだ。




< 1 / 251 >

この作品をシェア

pagetop