腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め



バレンタインデーにチョコを渡すという、それだけで告白の意味を持つ行動を取ることは、確かに一つの区切りになるのかもしれない。




「……わかったわよ」




むっと唇を結びながらも、私は結局ゆっくりとうなずいてみせた。


……でもやっぱり、せっかく用意したチョコレートを受け取ってもらえなかったら恥をかく……ていうか、すごく悲しい。

だから、一つ決心した。




「こうなったら、何が何でも奏多くんにはチョコを受け取らせてやるわ! 手段は選ばないからね!」


「少々物騒ですが、素晴らしい心意気でございます」




バレンタインデーまではおよそ二週間。

ここからが戦いだ。




「ところでお嬢様。近年は友人同士でチョコレートを交換する“友チョコ”なるものが定番となっているのをご存知ですか?」


「……知らない」


「柳沢様とは別に、『心から仲良くなりたいと思っている友達』にバレンタインチョコを渡してみるのはいかがでしょうか」




鷹司は食器を下げる傍ら、そんな謎のアドバイスを残した。



< 101 / 251 >

この作品をシェア

pagetop