腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め
……って違う! 葉澄じゃなくて、奏多くんに渡すチョコを考えなきゃいけないのよ私!
「ところで。あなたは、当然奏多くんに手作りのチョコを渡すのよね?」
というわけで急いで質問を切り替えた。まずは敵情視察。
「ううん。私料理苦手だもん。美味しそうなの買って渡した方が良いかなって」
「馬っっっ鹿じゃないの!?」
そしてまたしても大きな声を上げてしまった。
この子っ、恋人たちの一大イベントを何だと思ってるの!?
もう我慢できない。
私は葉澄に向かって、ビシッと指をさした。
「手作りチョコを渡せるのは恋人の特権よ! それを自ら捨てようなんて本当に馬鹿!!」
「ご、ごめんなさい……」
「見損なったわ。言っておくけどね、私は奏多くんに、本命チョコとして渡すわよ」
気が付けば、私はそんな風に宣戦布告していて。
自分で連れてきておきながら、戸惑う葉澄のことは置き去りにしてその場を去った。