腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め



鷹司は説明しながら、お湯を張った鍋を差し出す。

そうやってさりげなくサポートしようとしてくることに気付いて、私は鷹司を睨んだ。




「邪魔しないで。一人でできるから」


「失礼いたしました。ではもう口を挟みませんので、やけどにはお気を付けください。まあ、わたくしはお嬢様が全身やけどを負ってミイラなみに包帯を巻くことになっても愛せる自信がありますが」


「ちょっと、私がお菓子作り程度で全身やけどすると思ってるわけ!?」


「可能性はゼロではないかもと思っております」


「あんたね……」




そんなどんくさいわけあるか。

いいわ。こうなったら完璧に作り上げてぎゃふんと言わせてやる。


私はレシピ本と睨めっこしながら、ガチャガチャと音を立てて準備を進めていく。


ええっと、卵を卵黄と卵白に分けて……いや簡単に言ってくれるわね。とりあえず割ってみたけどどうやって黄身だけ取り出すの? スプーンですくえばいい?




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