腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め




クラスの一覧表が貼られるのは、昇降口近くの掲示板。

車を降りた私は、そこそこ緊張しながら校舎内に入る。


……そして掲示板の方に足を向けた瞬間、突然ネタバレされた。




「きっしーさーーん!! 私たち同じクラスだよ! よろしく!」




きっしーという私の愛称にさん付けするのは一人しかいない。

向こうから小走りでやって来た葉澄は、嬉しそうに私の手を取って、想像以上の力強さでぐいぐい引っ張ってきた。




「ちょっと葉澄、痛いわよ」


「あっ、ごめん。嬉しくて思わず……えへへ、だって十分の一だよ! 運命だねきっしーさん!」


「なっ……運命じゃないわよ。文理分けと成績順」




この学校では二年生から文系と理系が分かれ、さらに成績上位組は一クラスに集められる。

だから同じ文系で、似たり寄ったりの成績の私と葉澄が同じクラスになれる確率は、実際は三分の一ぐらいだ。



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