腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め
「じゃあ岸井さん、ハスをよろしく。なるべく他の男が……できれば女子も、ハスに近づきすぎないように見張っておいてくれる?」
「奏多くん……あんまり嫉妬深いと愛想尽かされるわよ」
彼氏面して(実際彼氏だけど)言う奏多くんに、私は呆れて笑ってみせた。
奏多くんはどうやら、私のことをちゃんと葉澄の友達として認めてくれたらしい。
何だか少し、得意な気持ちだった。
「じゃ、私たちもそろそろ行きましょう」
「うん! ……あれ、きっしーさん、何かご機嫌?」
「別に?」
4組の教室に向かうまでの廊下がいつもより明るく見えたのは、きっと1年生の教室がある階より日当たりが良いせいだ。そうに決まってる。