腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め
「うわあああ、ごめんなさいいい! いつもお世話になっております!!」
「まったく。毎日ちゃんと授業聞いてたら苦しまなくて済むっていつも言ってるのに」
「うう……」
「今日の放課後、完全下校時刻まで図書室でみっちり復習するよ」
「ひぇ……」
自業自得だけど、正直私も他人事じゃないのがつらい。
というか……
私はとある事実を教えてあげた。
「奏多くん。今日図書室開いてないわよ。蔵書整理するらしいから」
「え? そうなんだ」
教室の隅に貼られている図書館だよりに書いてあった。テスト期間終わってからにしたらいいのにと思わなくもない。
それを聞いた葉澄から安堵の息が漏れる。
「助かった……」
「何が? 図書室じゃなくても勉強はできるからね?」
「すみません……」
「でもどうしようか。教室に残ってもいいけど、せっかくだからどこかのカフェに行くとか環境変えた方がいいかな」
二人のそんなやりとりを聞きながら、私の中では小さく緊張が走っていた。