腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め
*
帰りの車は地獄のような空間だった。
葉澄が必死に原麗華の話で場を繋ごうとしてくれたけれど、それに答える気にもなれなくて、私はずっと外を見ていた。葉澄を家の前まで送り届けたとき、あからさまにほっとした顔をされたので、少し胸が痛んだ。
だけどこっちの事情も事情なので許してほしい。
「鷹司。私に何か言うことは?」
私がようやく口を開いたのは、パーティードレスから着替えもせず、自室の椅子にドカッと腰を下ろした直後のこと。
「婚約者の話について黙っておりましたこと、大変申し訳ございません」
「……今日お父様は?」
「海外出張中でございます」
「今すぐ電話を繋いで」
「スケジュールの関係で難しいかと」
大きく舌打ちをした。
どうしようもなくイライラする。
そのイライラする最も大きな要因は、自分の知らないところで婚約の話が出ていたからじゃない。鷹司がお父様から話を聞いていながら黙っていたことでもない。
帰りの車は地獄のような空間だった。
葉澄が必死に原麗華の話で場を繋ごうとしてくれたけれど、それに答える気にもなれなくて、私はずっと外を見ていた。葉澄を家の前まで送り届けたとき、あからさまにほっとした顔をされたので、少し胸が痛んだ。
だけどこっちの事情も事情なので許してほしい。
「鷹司。私に何か言うことは?」
私がようやく口を開いたのは、パーティードレスから着替えもせず、自室の椅子にドカッと腰を下ろした直後のこと。
「婚約者の話について黙っておりましたこと、大変申し訳ございません」
「……今日お父様は?」
「海外出張中でございます」
「今すぐ電話を繋いで」
「スケジュールの関係で難しいかと」
大きく舌打ちをした。
どうしようもなくイライラする。
そのイライラする最も大きな要因は、自分の知らないところで婚約の話が出ていたからじゃない。鷹司がお父様から話を聞いていながら黙っていたことでもない。