腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め
だから今は鷹司といる時間を少しでも減らすため、早起きして準備をするし、小テストの対策も前日のうちに済ませている。図らずも優等生みたいだ。
「きっしーさん、最近変わったよね」
教室では、私が小テスト対策をしてきたことへ「裏切りだあ!」と泣きついてきた葉澄が、唇を尖らせながらそう言った。
「変わったって?」
「何ていうか……前はもっと何するにしても生き生きしてたのに、今はこう……目が死んでる」
「なるほど、喧嘩売ってるわけね?」
「違う違う! ごめんって!」
手を合わせて必死に謝る葉澄に、「別に怒ってないわよ」と言いつつため息をついた。
私そんなにわかりやすいのかしら。
そして、放課後になっても帰るのがただただ憂鬱で。
ぼんやりしながら、迎えがくる定位置を目指してのろのろと歩く。
──いつもと様子が違うことに気が付いたのは、校門を出てすぐのこと。