腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め



いつも迎えの車がとまるその場所に、見慣れない外車がいた。どう見てもうちの車じゃない。

この場所が岸井家の送迎車がとまる場所だというのは暗黙の了解ではあるけれど、実際何かそういう申請をしているわけではない。だから、他の誰かがとめていたところで文句を言う筋合いはなかったりする。


でも、それならうちの車はどこかしら。

そう思ってきょろきょろしていると、突如その外車の窓が開いた。




「まいさん」




そして運転席から顔を出したのは、見覚えのある眼鏡の男。

あっと声が出る。




「御園さん?」




御園雄一。この前のパーティーで知り合った、御園グループの若き代表。

そして、私の婚約者候補だという人。




「ごきげんよう。どうしてこんなところに?」


「言ったでしょう、『また近々ゆっくりお話ししましょう』って。今から少し出かけませんか? ……あ、もちろんお家には連絡してありますし、社長にも話を通してあるのでご心配なく」




言われてスマートフォンを確認すると、確かにそういう連絡が入っていた。

特に断る理由もないので、私は戸惑いつつも助手席に乗り込んだ。



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