腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め




「話には聞いていましたけど、まいさん、本当に高校生なんですね」


「あら、疑っていらしたの?」


「パーティーで会ったとき、とても大人っぽく見えたもので。……あ、どこか行きたい場所とかありますか? 希望がなければ僕が適当に選びますけど」



特に何も思いつかなかったので、私は「お任せします」と言ってシートベルトを締めた。


乗り慣れない右側の助手席。

ゆっくりと景色が動き出す。


運転中の御園さんにどれぐらい話しかけていいものかわからず、流れていく景色に黙って目をやる。


しばらく車を走らせた後たどり着いたのは、私も幼い頃から何度も訪れたことのある、有名な美術館だった。




「懐かしい……」


「すみません。偉そうに言った割に、女性が喜びそうな場所ってよくわからなくて」


「あら御冗談を。ここの美術館は私も好き」


「なら良かった。せっかくだからゆっくりしていきましょう」




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