腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め
それ全然強いって言わないわよ変態。
頭に浮かんだそんなことを言う代わりに何度か咳き込んだ。
「食欲はございませんか? 雑炊か何か、食べやすいものを用意させましょうか」
「いい……」
お腹は全くすいていない。
そして、答えてからはっとする。
「今……何時……?」
「夜の7時30分です」
「御園さんとの食事……」
「行けるわけがないでしょう。雄一様にはきちんと事情を説明しておきました。大変心配していらっしゃいましたよ」
そりゃそうか。
鷹司に呆れたような声で言われて、少し恥ずかしくなる。
「……そんなに楽しみにしていらっしゃったのですか、雄一様に会うのを」
「え?」
「いえ……。わたくしはここにおりますゆえ、もうひと眠りされてはいかがですか?」
鷹司がここにいてくれる。
それだけで何だか、ものすごく安心してしまう。