腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め
私の片想い相手こと、柳沢奏多くんに彼女ができた……という噂が流れ始めたのは、ここ数日の話。
その噂を聞いた私の友人たちは、私に気に入られるためか、はたまた人に嫌がらせをする大義名分を得たからか、早速その女に接触したらしい。
だけど彼女たちが私に内緒で勝手にやった嫌がらせは、今一つ効果を成さなかったそうで。
今日の昼休みになって、「やっぱりきっしーが直接ガツンと言ってやんなきゃ♪」と、とても楽しそうに言ってきたのだ。ちなみに“きっしー”は私の愛称。
そんな私はこれまでも、奏多くんに近づく女には色々な嫌がらせをしてきた。
実際には私が直接手を下したものはあまりないけれど、友人たちがしたことは私がやったのと同義だ。
彼女たちは、私が恋敵に大きな力の差を見せつけて凹ませるのを期待している。期待されているからには応えてあげなければならない。
奏多くんを取られて腹が立ったのも、まあ事実だし。