腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め
葉澄が顔を引きつらせる。
「そういえば最近、遅刻ギリギリに来てチャイムと同時に帰ってるなって思ってたけど……鷹司さんの行方調べてたんだ……」
「そう。おかげで期末テストの結果もさんざんだったけど」
まずい。昨日のテスト結果の個票思い出しちゃった。
……気を取り直して。
私は二人に向けてにっこり微笑む。
「てことで、私は明日からニューヨークに行ってくるわね。お土産何がいい?」
海外旅行だなんて久しぶり。パスポート切れてなくて良かった。
「……え?」
「だって、ちゃんと顔見て『あんたのせいで髪こんなんにしちゃったわけだけど、感想は?』って聞いてやらないと気が済まないんだもの」
私がそう言うと、呆気に取られていた奏多くんが、どこか楽しそうにニヤリと唇の端を上げた。
「いいねそれ。最高だよ岸井さん」
「ふふ、そうでしょう」