腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め



あの男が逮捕されたというニュースを目にした日、俺の中で復讐は全て終わった。


……本当は、そこで執事という仕事を辞める選択肢もあった。

そうしなかったのは、その頃には権力者たちがこぞって自分を欲しがるという状況がただただ面白くなっていたからだ。俺は仕える相手を選り好みできる立場だった。

いつしか、自分を欲しがる者たちの中から、仕えることでさらに執事としての評判を上げられるような人間を探す……というようなことを繰り返すようになっていた。



そんな中で目に止まったのが、娘の素行不良に悩む大企業の社長だった。


執事兼家庭教師として、良家に嫁いでも家の名を汚さないレベルに育て上げてもらいたいという依頼。

なかなかやりがいのありそうな仕事だと直感した。

一年もあれば、その娘を社長が望む姿に仕立て上げる自信があった。


社長にはすぐに引き受けるという返事をし、まずは実際にその娘を見に行ってみることにした。


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