腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め
ゆっくりと、その言葉の意味を考える。
御園さんに対抗できるほどの権力。
まさか。
「……私を御園さんから奪うために、この話を受けたとでも言うの?」
「はい」
「執事になるために生まれてきたようなあんたが?」
「それは過大評価ですよ。わたくしは元々、他人に忠誠を誓えるような殊勝な人間ではありません。その証拠に……まい様に出会ったあの日以来、わたくしはいつだって貴女のことを手に入れる方法ばかり考えていたのですから」
鷹司はそう言いながら、そっと私の手に自分の手を重ねた。
いつも付けていた白手袋を外したその手は、少しだけひんやりとしている。
「お父上には、きちんと認めていただけるよう必ず説得いたします。ですからまい様、どうか俺を選んでは頂けませんか」
じわり、と目頭が熱くなるのを感じた。
零れ落ちそうになるのを強く唇を噛んで堪え、私は睨みつけるように鷹司を見上げた。