腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め
ピアスホール。
イヤリングしか付けたことがない私には未知の世界。
「む、無理よ! だって穴を開けるのよ? そもそもそんな道具だって……」
「道具ならこちらに。こんなこともあろうかと、先日購入したばかりです」
「あんたはいったい何をどれだけ想定しながら生きてるわけ!? もう『予知能力がある』って言われた方が納得できるわよ!」
ご丁寧に、ピアッサー以外にも消毒液やマーキングペンなどもそろっている。
そーっと表情をうかがえば、鷹司は笑顔のままちょっと首をかしげる。
それがまるで、「まあ、怖いと言うなら無理にとは言いませんが?」と煽られているような感じがして、少しむっとした。
「わかったわよ! やってあげる! その代わり、痛くても文句言うんじゃないわよ!」