腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め




「ピアスホールは安定するのに一月以上はかかるので、もう少し先になりますね」


「そう。そのときはまた私が付けてあげる。というか、勝手に付けたら許さないわよ?」




鷹司は一瞬驚いたように目を見開いてから、おかしそうに笑った。




「まい様の手でこのピアスを付けて欲しいというのは、次にお会いする口実に使おうと思っておりましたのに。まさか貴女の方から提案して頂けるとは」


「あら、むしろ一月後まで会わないつもりだったの?」




私は、伸びかけの髪をくしゃりとかきあげ、笑みを浮かべる。

イメージはもちろん、気高く美しい悪役令嬢。




「だめよ。貴方は私が『会いたい』って言ったら、地の果てにいても駆けつけないと」




相手の都合なんてこれっぽっちも考えていない、自分勝手でわがままな言葉。


鷹司はそんな私に対して、かつてのように右手を胸に当て、恭しく礼をした。




「仰せのままに、俺だけのお嬢様」





-fin-
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