腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め
*
教室に戻ってきた私たちは、罪悪感なんてものはまるでなしに楽しくおしゃべりに興じた。
そして友人たちは、先ほどの香田葉澄の様子がよっぽど面白かったらしい。何度も繰り返し、声高に彼女のことを話しつつ大笑いする。
──そしてそんなおしゃべりには、数十分ほど経った頃、ようやく飽きたようだ。
「じゃあねきっしー、また明日」
「ええ、また明日」
電車や徒歩で通学している友人たちがバラバラと帰り始めた。
だけど私は……彼女たちがいなくなった後も席を立たずに一人教室に残っていた。
車で送迎してもらっているから、それはいつものこと。
「……」
だけど、しばらく経ってから鞄を持って立ち上がった私は、送迎の車が来る正門へは向かわなかった。
代わりに周囲の目を気にしつつ、まっすぐある場所へ足を進める。
ある場所──約一時間前に香田葉澄を閉じ込めた、体育倉庫だ。
呼び止めたとき香田葉澄は掃除中だったらしく、手ぶらだった。つまり携帯を持っていない可能性がある。
教室に戻ってきた私たちは、罪悪感なんてものはまるでなしに楽しくおしゃべりに興じた。
そして友人たちは、先ほどの香田葉澄の様子がよっぽど面白かったらしい。何度も繰り返し、声高に彼女のことを話しつつ大笑いする。
──そしてそんなおしゃべりには、数十分ほど経った頃、ようやく飽きたようだ。
「じゃあねきっしー、また明日」
「ええ、また明日」
電車や徒歩で通学している友人たちがバラバラと帰り始めた。
だけど私は……彼女たちがいなくなった後も席を立たずに一人教室に残っていた。
車で送迎してもらっているから、それはいつものこと。
「……」
だけど、しばらく経ってから鞄を持って立ち上がった私は、送迎の車が来る正門へは向かわなかった。
代わりに周囲の目を気にしつつ、まっすぐある場所へ足を進める。
ある場所──約一時間前に香田葉澄を閉じ込めた、体育倉庫だ。
呼び止めたとき香田葉澄は掃除中だったらしく、手ぶらだった。つまり携帯を持っていない可能性がある。