腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め



「いや、途中で列に乱入したら後ろの人に迷惑が……」


「私と一緒に入れば後ろの人たちの順番が遅くなることはないわ」


「入るって、だからこれはいったい何の列……」



彼女はそう言いながら列の先頭を見て、ようやく続く先がお化け屋敷であることを知ったようだ。顔色がちょっと曇った。



「3年生全10クラスのうち、3クラスが合同で作った本格派お化け屋敷らしいわ。とある遊園地支配人の子どもがいるらしくて、コネを使ってプロに監修してもらったそうよ」


「わぁ……本気度が違う……。わ、私は遠慮して……」


「させないわよ」


「きっしーさん一人で入れば良いじゃん!」


「はあ? お化け嫌いな私が一人で入って耐えられるわけないじゃない!」


「じゃあ何で並んでるの!?」



ごもっともな突っ込みだ。

私がお化け嫌いだということを知らなかったであろう鷹司が、後ろで声を殺して笑っているのが何となくわかる。


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