腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め
……普通に言い返せるって快適だわ。
鷹司はふっと笑って、恭しく私に一礼した。
「無事に香田様と仲直りできたようで。さすがでございます」
「私は別に……。単にあの子が馬鹿みたいにお人好しだったから」
「お嬢様が本当の人柄が伝わったからこそですよ」
そんな風に褒められてもあまりピンとこない。
私が釈然としていないのを感じ取ったのだろう。
鷹司はゆっくり手を伸ばしてきたかと思うと、優しく私の頭を撫でた。
「よく頑張りましたね」
「っ……こ、子ども扱いやめなさい!」
「子ども扱いしているつもりはございませんが、こうされるのは嫌でしたか?」
「嫌……ってわけじゃ、ない、けど」
むしろ、どこか心地いい。
そういえば私……こうやって、誰かに頭を撫でながら褒められたことなんてあったかしら。
たぶん……ないわね。
これまでそんなに褒められるようなことしてこなかったし。