腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め
なるほど、こっちはなかなか信憑性あるじゃない。あの男ならそれぐらいできそう。
だけどそうなると……
「岸井家の抱える一番の問題っていうのは、間違いなく私の存在でしょうね」
何をやらせてもまともに出来ないくせに、性格も褒められたものじゃない。
そんな私を、お父様の望むような出来の良い娘に変えられたら、無事に岸井家の抱える問題解決ってとこかしら。
『そんなことないよ。姉さんはちょっと素直になれなくて、ちょっと頭が悪いだけだろ』
「ありがとう累。フォローになってないけど」
『で、結局姉さんの目から見て、その鷹司さんはどう?』
前のめりになって聞いてくる累。有名な執事のことが何かと気になるらしい。意外にミーハーだ。
期待の眼差しに、私は肩をすくめて答える。
「どうもこうも、この数か月毎日一緒にいるのにいまだに何考えてるかわからないのよ。変態なのは間違いないんだけど」
『変態って言った?』