腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め




購入した青紫色のドレスは後日自宅へ届けてもらうことにした。

店を出てみれば相変わらずものすごい人出だったけれど、せっかく来たので我慢して歩いてみることにした。

……のだけど結局すぐ音を上げた。




「鷹司。人が多すぎるわ。何とかしなさい」




無茶なことを言っているのは自分でもわかる。

それでも顔色を変えないのが鷹司だ。




「では、そこの百貨店の最上階にあるカフェで一休みいたしましょう」


「はあ? そんなカフェなんて混んでるに決まってるじゃない」


「そんなこともあろうかと、一週間前から予約して席を確保しておきましたのでご心配なく」


「……私が買い物に行きたいって言いだしたのは今日だったはずだけど」




この男は未来まで読めるのだろうか。

また一つ謎は増えたけれど、せっかく休めるのだからあまり気にしないことにしよう。

店内に入ってみたら、周りが明らかにカップルばっかりな気がするけど、それも気にしないことにしよう。


< 86 / 251 >

この作品をシェア

pagetop