腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め
「それはもちろん、お嬢様が皆に愛される悪役令嬢になるまでです」
「それがわかんないのよ。基準は何?」
「少なくとも、お嬢様ご自身が自信を持って『自分は愛され系悪役令嬢だ』と思えるようになることは絶対条件ですね」
ずいぶんと曖昧な。
だけどまあ、今の自分が『愛され系悪役令嬢』から程遠いと感じているのは確かだ。
「貴方が挙げた愛され系悪役令嬢の条件に、『気高く、芯の強い自分を持っていること』ってのがあったわね」
「ええ」
「友人たちの前で期待される姿を演じるのをやめられない……ある意味顔色をうかがってばかりの私には、『ヒロインとは対立の末、良い関係を築くこと』という条件や『卑怯な手は使わず、正々堂々と勝負すること』という条件より、ずっと難しいのかもしれないわ」
葉澄とは意外にも和解できた。
卑怯な手を使わず正々堂々と勝負できるようになるため、努力することもできている。
だけど……