腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め



どうにかして必死に築いてきた友人たちとの歪な関係を壊すのは、それが自分のためになると理解していても一歩踏み出せない。


実際、現時点で既に関係に綻びが生じ始めていることに最近気が付いた。

冬休みに入る数日前、偶然こんなことを言われているのを聞いてしまったのだ。



『最近のきっしー、つまんなくない? なんか大人しいっていうか。もっと香田葉澄のこと泣かせるとことか見たかったのに』


『わかる! ていうか、正直あたし、あの人のこと怖いけど一緒にいるとそれだけでナメられなくなるから付いてってたんだよねー。大人しくしてるんなら、あんま一緒にいるメリットないっていうか』


『あと、ここのところ放課後に遊びに行くこともなくなったし。前は何でも奢ってくれてサイコーだったのに』



女子トイレでの悪口は本当に止めた方がいいと思う。個室に本人がいる可能性、ゼロじゃないんだから。



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