腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め



悪役令嬢的には、自分の悪口が聞こえようものなら毅然とした態度で彼女たちの前に出て行き、

『言いたいことがあるなら直接言ったらどう?』

なんて冷たい笑みを浮かべて言うべきだったのだろう。


だけど私にそんなことはできなかった。

聞かなかったフリをして教室に戻り、悪口を言っていた彼女たちに対して何事もなかったかのように接するので精一杯。



「っ」



私は軽く自分の頬を叩くと、目の前のブランマンジェを一気にすくって、大きく口を開けて食べた。



「お嬢様、お行儀が悪いですよ」


「今日は大目に見なさい。クリスマスイブなんだし」


「クリスマスイブは何でも許される魔法の言葉ではございませんが」



そう言う鷹司は私とは対照的に、実に優雅に紅茶を楽しんでいる。

私はフンと鼻を鳴らして、残りのブランマンジェに再び手を伸ばした。


──そのとき、ふと耳に聞いたことのある声が入ってきた。



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