腹黒執事は、悪役なお嬢様への愛が強め
「私と奏多くんに似たところがあって、奏多くんと葉澄が合うっていうなら……私には葉澄みたいな男が必要ってことかしら。どこにいるのかしらそんな奴」
「いいえ」
思ったことをそのままぼそりと呟けば、なぜかすぐさま否定された。
そして鷹司は、いつも通りの胡散臭い笑みを浮かべる。
「貴女に合う男はどう考えてもわたくしでしょう」
「は?」
「お嬢様。僭越ながら申し上げますが、貴女には絶対にわたくしが必要ですよ?」
「なっ……ば、馬鹿!? 馬鹿なの!?」
「昔から、恋の傷を癒すのもまた恋だと言われております。どうでしょう、今度はわたくしに恋をしてみるなど……」
顔の温度がカアっと上がっていく。
そうだった。そういえばこいつ、こういうこと言う奴だった。
ムキになったら負けだと頭では理解しながらも、どうしても叫ばずにいられない。
「あんただけは天地がひっくり返っても無いから!」