翡翠の紋章
第20話
風が強く吹きすさぶ。
粉雪が舞い散る雪原に、
フィンレーたちは足を踏み入れた。
樹氷ができるほどの寒さだった。
ここまで来る途中の
小さな村の道具屋でダウンジャケットを
購入して、暖を取っていた。
「寒すぎる~。
どこに行きゃいいってのよ。」
スカーレットは寒さに弱い。
ジャケットを羽織っていても
寒くてがたがた震えていた。
「寒いのは誰も一緒よぉ。
フィンレー、早く目的地ー。」
ソフィアまで騒ぎ始めた。
「待て待て、俺にいいアイデアがある。」
剣を振り上げた。
不機嫌なオピンニクスが出て来た。
「機嫌悪いところ、申し訳ないんだけど、
壁になってくれない?
風強くて全然前に進めないから。」
「……。」
額に筋を浮かべては、黙ってみんなの前に
立ちはばかり、風の盾になってくれた。
「神様やぁ。温かいわぁ。」
毛並みが意外にもふわふわのオピンニクスは
熱を放出していた。
暖房器具のように温かくなっている。
「本当だぁ。ここなんて風も来ないし
テントみたいにホカホカする~。」
小人たちは、オピンニクスの耳の中に入っていた。
ちょうど囲いもあって、毛並みもあって、
一石二鳥だった。
「小さいってうらやましいわね。」
スカーレットが悔しそうに2人を見ている。
「まぁまぁ、すぐに終わらせてしまいましょう。」
「そうね。
次はどこらへんかしら。」
「ここみたいだぞ。」
雪原の入口からしばらく歩くと、
たくさんの樹氷の中にひときわ大きい
氷のかたまりがあった。
形は、ドラゴンのようになっている。
「これ? どうすりゃいいっていうの?」
スカーレットは試しにつんつんと
剣でたたいてみるが、びくともしない。
「凍っているわね。
かなり硬く…。」
「迂闊に近づかない方がいい。」
オピンニクスがぼぞっというと、
突然、ドラゴンの樹氷から、冷気が
降り注ぐ。
一瞬して、スカーレットは、
全身凍ってしまった。
「あ…。嘘、スカーレットが
凍っちゃった。
どうすんの?」
ペタペタとソフィアは
凍ったスカーレットを触るが、
何も反応しない。
「スカーレット…やらかしたなぁ。」
焦る様子を見せずに
フィンレーが剣を鞘に戻して、
スカーレットの凍った体に手を当てた。
『ディゾルブ』
全身凍っていたスカーレットが徐々に
溶けていく。
「ぷはぁ!?
ちょっと何、これ。
凍っちゃったよ、私。
気をつけよぉ。」
「ほんとそれ。
迂闊に手を出すなって。」
「はい。気を付けます。」
深く反省するスカーレット。
フィンレーはにらみつける。
「でも、どうすりゃいいの?これ。」
「こいつは、ホワイトドラゴン。
炎が弱点のはずだ。
一番手っ取り早いのが、
レッドドラゴンを仲間にして
倒すのが早い。
炎の魔法では唱えている間に
物理攻撃でやられるぞ。」
オピンニクスが答える。
「レッドドラゴン?
どこにいるんだよ。」
「あそこ。」
オピンニクスは西の空の
火山を指さす。
「え?!あそこ?!
かなり遠いよね?
そもそもすぐに仲間にできるの?
逆パターンもありってことじゃなくて?
レッドは氷に弱いから
このホワイトドラゴンを仲間にして
倒せるとか。」
「ああー、たしかに。
そうかもしれないな。」
「あー---。
そしたら、
このドラゴンを倒してからの方が
良くない?
物理攻撃無理なの?」
「できなくもない。
太陽が出ているときに、
氷が溶けて少し体がむき出しになる。
そこを狙うしかないか…。」
「でも、今は、曇りよね。
夜はもっと冷えそうだし。」
「こちらから
攻撃をしかけなければ、
悪さはしない。
今もそうだろ。
攻撃もしくは、
炎の魔法を唱えるとセンサーのように
反応して、攻撃してくる。
スカーレットのように凍るぞ。」
「でも、倒さないといけないから。
どうしよう?!」
「わかった。
魔法をはね返せばいいんじゃない?
『ハードバリア』を使いましょうよ。」
「1ターンにつき1人しか使えないぞ。」
「その瞬間で炎魔法を。
無属性魔法は効かないのかな?」
「それもありか。
でもどれくらいのHP があるのか。
結局は1人で戦うことに
なるんじゃないか。」
「ちちち…。僕たちを忘れてはいませんか。」
小人のレクエペとケラットは
ドヤ顔でこちらを見る。
「小人の力?!」
「僕たちに作戦があります。」
レクエペがフィンレーの耳もとで
作戦内容を話した。
サプライズ攻撃を仕掛けるようだ。
「えー-、何話してるの?」
「それは、攻撃してからのお楽しみです。」
レクエペは静かにのポーズをした。
小人2人とフィンレーはガッツポーズを
して、気合を入れた。
「よし、ソフィア、さっき言ってた
『ハードバリア』を俺にかけてくれ。
そしたら、あとは任せて。
ソフィアは
凍ってしまうけど、
すぐに溶かすから。」
「わかったわ。」
魔法の杖を持ち直した。
全身が凍っている
ホワイトドラゴンとの戦いが
始まろうとしていた。
粉雪が舞い散る雪原に、
フィンレーたちは足を踏み入れた。
樹氷ができるほどの寒さだった。
ここまで来る途中の
小さな村の道具屋でダウンジャケットを
購入して、暖を取っていた。
「寒すぎる~。
どこに行きゃいいってのよ。」
スカーレットは寒さに弱い。
ジャケットを羽織っていても
寒くてがたがた震えていた。
「寒いのは誰も一緒よぉ。
フィンレー、早く目的地ー。」
ソフィアまで騒ぎ始めた。
「待て待て、俺にいいアイデアがある。」
剣を振り上げた。
不機嫌なオピンニクスが出て来た。
「機嫌悪いところ、申し訳ないんだけど、
壁になってくれない?
風強くて全然前に進めないから。」
「……。」
額に筋を浮かべては、黙ってみんなの前に
立ちはばかり、風の盾になってくれた。
「神様やぁ。温かいわぁ。」
毛並みが意外にもふわふわのオピンニクスは
熱を放出していた。
暖房器具のように温かくなっている。
「本当だぁ。ここなんて風も来ないし
テントみたいにホカホカする~。」
小人たちは、オピンニクスの耳の中に入っていた。
ちょうど囲いもあって、毛並みもあって、
一石二鳥だった。
「小さいってうらやましいわね。」
スカーレットが悔しそうに2人を見ている。
「まぁまぁ、すぐに終わらせてしまいましょう。」
「そうね。
次はどこらへんかしら。」
「ここみたいだぞ。」
雪原の入口からしばらく歩くと、
たくさんの樹氷の中にひときわ大きい
氷のかたまりがあった。
形は、ドラゴンのようになっている。
「これ? どうすりゃいいっていうの?」
スカーレットは試しにつんつんと
剣でたたいてみるが、びくともしない。
「凍っているわね。
かなり硬く…。」
「迂闊に近づかない方がいい。」
オピンニクスがぼぞっというと、
突然、ドラゴンの樹氷から、冷気が
降り注ぐ。
一瞬して、スカーレットは、
全身凍ってしまった。
「あ…。嘘、スカーレットが
凍っちゃった。
どうすんの?」
ペタペタとソフィアは
凍ったスカーレットを触るが、
何も反応しない。
「スカーレット…やらかしたなぁ。」
焦る様子を見せずに
フィンレーが剣を鞘に戻して、
スカーレットの凍った体に手を当てた。
『ディゾルブ』
全身凍っていたスカーレットが徐々に
溶けていく。
「ぷはぁ!?
ちょっと何、これ。
凍っちゃったよ、私。
気をつけよぉ。」
「ほんとそれ。
迂闊に手を出すなって。」
「はい。気を付けます。」
深く反省するスカーレット。
フィンレーはにらみつける。
「でも、どうすりゃいいの?これ。」
「こいつは、ホワイトドラゴン。
炎が弱点のはずだ。
一番手っ取り早いのが、
レッドドラゴンを仲間にして
倒すのが早い。
炎の魔法では唱えている間に
物理攻撃でやられるぞ。」
オピンニクスが答える。
「レッドドラゴン?
どこにいるんだよ。」
「あそこ。」
オピンニクスは西の空の
火山を指さす。
「え?!あそこ?!
かなり遠いよね?
そもそもすぐに仲間にできるの?
逆パターンもありってことじゃなくて?
レッドは氷に弱いから
このホワイトドラゴンを仲間にして
倒せるとか。」
「ああー、たしかに。
そうかもしれないな。」
「あー---。
そしたら、
このドラゴンを倒してからの方が
良くない?
物理攻撃無理なの?」
「できなくもない。
太陽が出ているときに、
氷が溶けて少し体がむき出しになる。
そこを狙うしかないか…。」
「でも、今は、曇りよね。
夜はもっと冷えそうだし。」
「こちらから
攻撃をしかけなければ、
悪さはしない。
今もそうだろ。
攻撃もしくは、
炎の魔法を唱えるとセンサーのように
反応して、攻撃してくる。
スカーレットのように凍るぞ。」
「でも、倒さないといけないから。
どうしよう?!」
「わかった。
魔法をはね返せばいいんじゃない?
『ハードバリア』を使いましょうよ。」
「1ターンにつき1人しか使えないぞ。」
「その瞬間で炎魔法を。
無属性魔法は効かないのかな?」
「それもありか。
でもどれくらいのHP があるのか。
結局は1人で戦うことに
なるんじゃないか。」
「ちちち…。僕たちを忘れてはいませんか。」
小人のレクエペとケラットは
ドヤ顔でこちらを見る。
「小人の力?!」
「僕たちに作戦があります。」
レクエペがフィンレーの耳もとで
作戦内容を話した。
サプライズ攻撃を仕掛けるようだ。
「えー-、何話してるの?」
「それは、攻撃してからのお楽しみです。」
レクエペは静かにのポーズをした。
小人2人とフィンレーはガッツポーズを
して、気合を入れた。
「よし、ソフィア、さっき言ってた
『ハードバリア』を俺にかけてくれ。
そしたら、あとは任せて。
ソフィアは
凍ってしまうけど、
すぐに溶かすから。」
「わかったわ。」
魔法の杖を持ち直した。
全身が凍っている
ホワイトドラゴンとの戦いが
始まろうとしていた。