翡翠の紋章
第3話
うろこの雲の多い空では、
1羽のとんびが優雅に羽ばたいて
いる。
少女を抱っこしたフィンレーと
スカーレットは風が吹きすさぶ
だだ広い草原フィールドを
歩いていた。
あと少しで小さな村に着くはずだと
想ったころ、目の前に人間より少し
小さい犬のような顔をしている
コボルドが1匹あらわれた。
スカーレットが鞘から剣を
引き抜いた。
「私に任せろ。」
「おう。」
フィンレーは少女を起こさぬように
後ろに少し下がった。
威嚇して牙を見せつけてくる。
向こうも短剣を持ってこちらに
襲い掛かってくる。
「動きが鈍い!!」
スカーレットはグレートソードを
斜めに振り下ろし、一撃でコボルドを
倒した。
「さすが。
俺よりレベル上げしてるだけ
あるね。」
「魔法ばかり使ってるあんたと
一緒にしないで。」
「ちょっと待てよ。
俺さっきのブラッドウォームの時
こうげきしたぞ?
スカーレットの方が
魔法使ってたろ。
すぐMP消費するんだから
節約しろよ。」
「あれは小ボスでしょう。
あそこで使わないで
どこで使うのよ。
けちけちすんな。
男のくせに…。
ほら、行くよ。」
倒したコボルドの
落ちたお金の袋を拾った
スカーレットは、
村の中へ入っていく。
「はいはい。
人、抱っこしてるんだから
急かすなよな…。」
洞窟から数十メートル離れた村の
名前は、トリエネ村と看板が
書かれていた。
「フィンレー、まず、その子
休ませないと、いけないよね。
宿屋に行こうよ。」
「ああ、ここの村って
宿屋どこにあるの?」
「ここって何かわからないけど、
入口そばじゃなくて、
森の中にあんのよね。
宿屋の店主、
いじめられてんのかしら。」
「たまたまじゃねぇの?
緑豊かの方が、落ち着くとか。
でも、こっちの方が、
お店たくさんあるよな。
にぎわってるし。」
辺りを見渡すと、
噴水を中心にして、
丸を描くように
武器屋、防具屋、道具屋、
PUBがあった。
「PUBの隣に宿屋があっても
いいわよね。」
「まぁまぁ、気にせず、森の中、
とりあえず行こうぜ。」
噴水を通り抜けると、
雑種の犬が飼い主を振り切って
逃げ出していた。
ログハウスの宿屋の前に着くと
ぎ~っと音が鳴る扉が開いた。
「いらっしゃいませ。」
店主は、年老いた男だった。
白いひげを生やし、古めかしい服を
着ていた。
お店の受付には、壁に熊のはく製が
飾られていた。
「あー、えっと、3人で
泊まりたいんだが…。」
「3名様ですね。
何泊されますか?」
「とりあえず、1泊で頼む。
あと、食事はどうなっているのか
知りたい。」
「お食事は、1泊2食です。
メニューは、熊を使用しておりますが、
問題ないでしょうか?」
「く、熊?
へぇー、そう。
珍しいんだな。」
フィンレーは近くにあった
ソファに少女を寝かせて
宿帳に名前を書いた。
スカーレットはロビーにある
暖炉の火をまじまじと見ていた。
「そうです。
熊カレーにして、
朝には、ステーキにして
ご提供差し上げます。」
「すいません、それ、
逆にできますか?」
「逆とおっしゃいますと?」
「夜にステーキで、
朝にカレーにしてもらえると
助かります。」
「かしこまりました。
夜にステーキですね。
お部屋は2階になります。
上がってすぐですので…。」
宿屋の店主は、後ろにかけてあった
猟銃を背中に着けた。
「え。どちらに?」
「今から、熊、仕留めますので…。」
店主の目が殺気立っていた。
「あ、はぁ。
よろしくお願いします。」
フィンレーは、また少女を抱っこして、
2階の部屋のベッドに寝かした。
ちょうど、4つの
宮つきシングルベッドが
離れて設置されていた。
思った以上に広かった。
そっと、ベッドに寝かして、
部屋にあったソファにどかっと座った。
「あー、やっと着いた。」
「お疲れさん。」
「それにしても、この子、
なんであそこの洞窟に?」
「洞窟はいろんな人が
行きたがるものだよ。」
「モンスターがうじゃうじゃ
いるのに?」
「危険を冒してでも欲しいものが
あるんじゃないの?」
スカーレットは、腕を組んで、
目を少女の手の方をやった。
「あ、何か握りしめてる。
熟睡してないのか?」
フィンレーは少女の手の中に
入ってるものが
気になってそっと人差し指だけ
外した。
かたいものを握ってるのは
わかったが、何を握ってるかは
見えなかった。
「私の予想では…。
宝石じゃないの?
その中でも翡翠とか。」
「え、この子も俺たちと
同じ考えで
翡翠が欲しいってこと?」
「老若男女、欲しいもの
なんだって。
願いが叶うっていうんだから
誰だってほしいでしょう。」
「まぁ、確かに。
でも手に入れるのって
めっちゃむずいっていうじゃん。
翡翠を守るモンスターを倒さないと
いけないし、さらに探すのも
苦労するって。
あと、輝きを出すための磨く作業も。」
翡翠は原石をただ持つだけでは
何も起きなくて、磨いて磨いて
輝くようになった瞬間
願えば、叶うとされている。
「もし、あの洞窟で、
見つけていたのなら、
その子はすごい強いってこと
じゃない?
モンスター倒したのかしら?」
「んなあほな。
こんなかよわい少女が?」
じっと見つめていると、
少女は目を覚ました。
「ん……。」
少女は体を起こして
辺りを見渡す。
「ここはどこ?
あなたたちは?」
さっき洞窟で会ったことを
忘れているのか、
何のことかわからないようだ。
宿屋の屋根の上では、すずめが
2羽仲良さそうに飛び立っていく。
1羽のとんびが優雅に羽ばたいて
いる。
少女を抱っこしたフィンレーと
スカーレットは風が吹きすさぶ
だだ広い草原フィールドを
歩いていた。
あと少しで小さな村に着くはずだと
想ったころ、目の前に人間より少し
小さい犬のような顔をしている
コボルドが1匹あらわれた。
スカーレットが鞘から剣を
引き抜いた。
「私に任せろ。」
「おう。」
フィンレーは少女を起こさぬように
後ろに少し下がった。
威嚇して牙を見せつけてくる。
向こうも短剣を持ってこちらに
襲い掛かってくる。
「動きが鈍い!!」
スカーレットはグレートソードを
斜めに振り下ろし、一撃でコボルドを
倒した。
「さすが。
俺よりレベル上げしてるだけ
あるね。」
「魔法ばかり使ってるあんたと
一緒にしないで。」
「ちょっと待てよ。
俺さっきのブラッドウォームの時
こうげきしたぞ?
スカーレットの方が
魔法使ってたろ。
すぐMP消費するんだから
節約しろよ。」
「あれは小ボスでしょう。
あそこで使わないで
どこで使うのよ。
けちけちすんな。
男のくせに…。
ほら、行くよ。」
倒したコボルドの
落ちたお金の袋を拾った
スカーレットは、
村の中へ入っていく。
「はいはい。
人、抱っこしてるんだから
急かすなよな…。」
洞窟から数十メートル離れた村の
名前は、トリエネ村と看板が
書かれていた。
「フィンレー、まず、その子
休ませないと、いけないよね。
宿屋に行こうよ。」
「ああ、ここの村って
宿屋どこにあるの?」
「ここって何かわからないけど、
入口そばじゃなくて、
森の中にあんのよね。
宿屋の店主、
いじめられてんのかしら。」
「たまたまじゃねぇの?
緑豊かの方が、落ち着くとか。
でも、こっちの方が、
お店たくさんあるよな。
にぎわってるし。」
辺りを見渡すと、
噴水を中心にして、
丸を描くように
武器屋、防具屋、道具屋、
PUBがあった。
「PUBの隣に宿屋があっても
いいわよね。」
「まぁまぁ、気にせず、森の中、
とりあえず行こうぜ。」
噴水を通り抜けると、
雑種の犬が飼い主を振り切って
逃げ出していた。
ログハウスの宿屋の前に着くと
ぎ~っと音が鳴る扉が開いた。
「いらっしゃいませ。」
店主は、年老いた男だった。
白いひげを生やし、古めかしい服を
着ていた。
お店の受付には、壁に熊のはく製が
飾られていた。
「あー、えっと、3人で
泊まりたいんだが…。」
「3名様ですね。
何泊されますか?」
「とりあえず、1泊で頼む。
あと、食事はどうなっているのか
知りたい。」
「お食事は、1泊2食です。
メニューは、熊を使用しておりますが、
問題ないでしょうか?」
「く、熊?
へぇー、そう。
珍しいんだな。」
フィンレーは近くにあった
ソファに少女を寝かせて
宿帳に名前を書いた。
スカーレットはロビーにある
暖炉の火をまじまじと見ていた。
「そうです。
熊カレーにして、
朝には、ステーキにして
ご提供差し上げます。」
「すいません、それ、
逆にできますか?」
「逆とおっしゃいますと?」
「夜にステーキで、
朝にカレーにしてもらえると
助かります。」
「かしこまりました。
夜にステーキですね。
お部屋は2階になります。
上がってすぐですので…。」
宿屋の店主は、後ろにかけてあった
猟銃を背中に着けた。
「え。どちらに?」
「今から、熊、仕留めますので…。」
店主の目が殺気立っていた。
「あ、はぁ。
よろしくお願いします。」
フィンレーは、また少女を抱っこして、
2階の部屋のベッドに寝かした。
ちょうど、4つの
宮つきシングルベッドが
離れて設置されていた。
思った以上に広かった。
そっと、ベッドに寝かして、
部屋にあったソファにどかっと座った。
「あー、やっと着いた。」
「お疲れさん。」
「それにしても、この子、
なんであそこの洞窟に?」
「洞窟はいろんな人が
行きたがるものだよ。」
「モンスターがうじゃうじゃ
いるのに?」
「危険を冒してでも欲しいものが
あるんじゃないの?」
スカーレットは、腕を組んで、
目を少女の手の方をやった。
「あ、何か握りしめてる。
熟睡してないのか?」
フィンレーは少女の手の中に
入ってるものが
気になってそっと人差し指だけ
外した。
かたいものを握ってるのは
わかったが、何を握ってるかは
見えなかった。
「私の予想では…。
宝石じゃないの?
その中でも翡翠とか。」
「え、この子も俺たちと
同じ考えで
翡翠が欲しいってこと?」
「老若男女、欲しいもの
なんだって。
願いが叶うっていうんだから
誰だってほしいでしょう。」
「まぁ、確かに。
でも手に入れるのって
めっちゃむずいっていうじゃん。
翡翠を守るモンスターを倒さないと
いけないし、さらに探すのも
苦労するって。
あと、輝きを出すための磨く作業も。」
翡翠は原石をただ持つだけでは
何も起きなくて、磨いて磨いて
輝くようになった瞬間
願えば、叶うとされている。
「もし、あの洞窟で、
見つけていたのなら、
その子はすごい強いってこと
じゃない?
モンスター倒したのかしら?」
「んなあほな。
こんなかよわい少女が?」
じっと見つめていると、
少女は目を覚ました。
「ん……。」
少女は体を起こして
辺りを見渡す。
「ここはどこ?
あなたたちは?」
さっき洞窟で会ったことを
忘れているのか、
何のことかわからないようだ。
宿屋の屋根の上では、すずめが
2羽仲良さそうに飛び立っていく。