ピンクの姫が無自覚攻撃を繰り出すので、ブルーの侍が困惑しています(アンジュと近藤)
「確かに彼女は未成年者で、あなたが手を出せば、犯罪者確定ですからね」
「そうだな、俺にとっては妹みたいな存在なんだ。
でも、今の状態はちょいと心配だな」
久遠は換気のために、フランス様式の窓を開けた。
庭には白い野薔薇。
そのいくつかが、小さな花びらを風に揺らせている。
そう、それは随分と昔のような気がする。
母親がまだ元気だったころ、庭の古木にアンジュと二人でよじ登って怒られた。
幼い天使は可愛らしく、どんな望みも叶えてあげたいと思った。
あの時の天使は、もうすっかり背が伸びて、今や反抗期真っ盛りという感じになっている。
手足がしなやかなつる草のようで、妖精のように華奢で・・
煙草の匂いがしたのだが。
久遠は、想い出を封印するように、パタンと窓を閉じた。
「久遠、さっさと、掃除をして写真を撮りましょう。
遅くなると、エミリアとのデートに遅れるのではないですか?」
近藤は仕事人らしく、すぐ次の段取りの指示をした。